Serial experiments lain アニメ
1998年放送されたアニメ。
玲音(れいん)という中学二年生の寡黙な少女が主人公。
同級生の飛び降り自殺から物語が始まる。
NAVIというコミュニケーションネットワーク端末を介し、現実世界(realworld)と架空現実(wired)の二つが干渉しあいながら混沌と物語が進んでいく。
ジャンルとしてはサイバーSF、サイコサスペンス、サイコホラーあたりが妥当なのかな。
今から20年以上前の作品で、パソコンや携帯電話など電子情報機器が一般的に普及するより前にこのアニメが作られたという事実がすごいと思いました。
自己の存在を証明するものはなんなのか。
他人からの自分の認知。曖昧な認識。
情報に溢れ、なにが真実でなにが嘘か、見極めることすら難しい現代に風刺として訴えかけるだけの説得力が未だに生きている作品です。
といっても、90年代から2000年初頭の日本のアニメとくにシリアスな作品はとても多いようにも思います。
例えばエヴァンゲリオン、攻殻機動隊GHOST IN THE SHELLなど、SFの世界観でありながら自己探求が一つのテーマとして語られる作品は他にもたくさんあります。
僕はこういった作品を通して自問自答をする機会を与えられることはとても有意義な事と思えるのです。
そして音楽的な面でもこの作品はとても素晴らしいです。
まずOPが素晴らしいです。
BOAというイギリスのバンドの曲、曲はオリジナル版もさることながら、アニメオープニング用に編集されたバージョンとOPの作画とのバランス。
僕はどツボでした。
そして、作中音楽を担当している仲井戸CHABO 麗市氏。
作中に響くエレキギターはブルース、ジャズなど主体に、インプロゼーション的な響きがSF且つシリアスな局面で見事にマッチングしています。
そこがまたたまらなく好きでした。
全13話、物語前半では確信になかなか着かずモヤモヤする部分が多かったですが、クライマックスはどうでしょう。ご覧になった方と語らいたいところです。
カルト的な人気が根強い。と言わしめる作品だと思います。
お時間ある方は是非とも。
これは個人的な偶然で驚いたことだけど、
この作品の監督 中村隆太郎氏を調べたら、ちょうど最近読んだ宮沢賢治作品集で特に気に入っていた[グスコーブドリの伝記]のアニメ監督をされていると知りました。
それも早く観たいです。